vol.08 インドのリズムに体を慣らす
Chandoori saiのオーストラリア人オーナーLeonは、
僕を温かく歓迎してくれた。
着くなり腹が減っただろうと、
チキンと地元オーガニック野菜の煮込みとライス、
それに洋梨とショウガとグラノラで作った自家製デザートまで出してくれた。
よく考えるとインドに着いてからろくな食事をとっていない。
美味しいごはんを腹いっぱいたべると、
「疲れたろうから今日はもう寝なさい。」と立派なツインルームに案内してくれた。
シャワーを浴びると久しぶりのベッドで泥のように眠った。
11/1 【3日目】
翌朝起きたのは6時すぎ、思いのほか寝起きはすっきりしていた。
軽くゲストハウスの中庭を歩く。
晴天にもやがかかり、朝露に濡れる芝生を裸足で歩くと、気持ちがいい。
体に溜まった疲れをアースしている気分だ。
ベッドに戻り寝覚めのヨガをしてから、
同じ客のオーストラリア人ファミリーと朝食を共にした。
オーストラリア人が愛するパンのお供”VegeMite”なるものを進められたが、
彼らがむしゃむしゃ食べるほど、僕にはパンが進むものではなかった。
自国では伝統ある発酵食品らしい。
彼らに日本の納豆を進めるようなものだから、
口に合わなくてもお互いさまというものだ。
彼らはロングバケーションを利用して、
インド一周6週間の旅に来ているらしい。
しかも、ドライバー兼ガイドと通訳と車をチャーターしているというから
きっとお金持ちにちがいない。
北インドから反時計回りでここまで来た中では、
朝食後は彼らに誘われて、近くの集落と野原の散策に出かけた。
ガイドが絶景だというわりにそうでもない風景をいくつか通ると山道をそれた。
田んぼの間の幅20センチもないあぜ道を落ちないように通り抜け、
引っ付き虫だらけの草原を抜けて、2時間半後に宿に戻った。
昼食かと思いきや、12時に出発して今度は僕と宿のガイド、
それになぜかファミリーのドライバーの3人で、
宿から20kmほど先にある原始的な市場に向かった。
インドで履き捨てるつもりだったおんぼろスニーカーだったが、
午前の散策で早くもダメになった。
サンダルを100ルピーで買い、サリーを150ルピーで買わされた。
市場には日用品よりも、食料品や屋台のほうが多い。
さっきからおいしそうなにおいがあちこちでしている。
てっきりここで食事するのかと思ったら、どうやら違うようだ。
赤ちゃんの首だけの汚れた人形の口に何かを挟んで見物客となにやらやり取りしている、
わけのわからないマジックを見て宿に戻った。
お腹の音はずっと鳴りっぱなしだ。
Leonが「ちょっと遅いけど、ランチ食べるかい?」というので、
当たり前だと言わんばかりに大きく「Yes!」と返事して、
14時半ごろやっと昼食にあり着いた。